ワンオペ育児、もう限界? その不満、実は夫のせいだけじゃないかも
毎日、朝から晩まで育児に家事に仕事に…。「なんで私ばっかり」って、心の中で叫んだこと、一度や二度じゃないはず。夫は隣にいるのに、まるで透明人間みたい。結局、全部私がやるしかない。そんな「ワンオペ育児」が、気づけば夫婦関係を蝕んでいく。喧嘩が増える、会話が減る、そして心はどんどん離れていく。
正直、うんざりしてるんじゃない? 「うちの夫は気が利かない」「家事も育児も手伝ってくれない」って、もう何度ため息をついたかわからない。でもね、ちょっと待って。その不満、本当に夫だけの問題だと思う?
今回、私がズバッと斬り込むのは、多くの共働き家庭が直面している「ワンオペ育児の闇」の、さらに奥にある、誰もが目を背けてきた「不都合な真実」について。夫が動かない「本当の理由」って何なのか。そして、その根源を理解しない限り、夫婦関係は絶対に良くならない。
今から、あなたの夫婦関係に潜む「爆弾」の正体を暴いていくから、覚悟して読み進めてほしい。
「夫が動かない」は、実は「動かせない」だけ?
毎日、疲弊しきって「なんで私ばっかり」と嘆くあなた。夫はソファでスマホをいじり、テレビを眺め、まるでこの世に存在しないかのように振る舞う。そんな姿を見て、「うちの夫は本当に気が利かない」「育児も家事も、まるで他人事」と、何度心の中で罵倒したことか。
でもね、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいの。本当に、あなたの夫は「動かない」人なの? それとも、もしかしたら、あなたが無意識のうちに「動かせない」状況を作り出しているのかもしれない。
この言葉に、思わず「は?」って思った人もいるかもしれない。でも、これが多くの共働き家庭で、水面下で起こっている「不都合な真実」なんだ。
「良かれと思って」が、夫のやる気を奪うメカニズム
多くの妻は、家事や育児に対して「完璧主義」の傾向がある。いや、完璧主義とまではいかなくても、「自分なりのやり方」というこだわりが強い。これは悪いことじゃない。むしろ、家庭を円滑に回すためには必要なことだ。
でも、その「良かれと思って」の行動が、夫の「やる気」を根こそぎ奪っている可能性に気づいているだろうか?
例えば、夫が食器を洗ってくれたとする。でも、洗い方が甘い。水切りカゴへの入れ方が雑。シンクの周りがびしょ濡れ。そんな時、あなたはどうする?
「ちょっと、これ汚れ落ちてないよ」「水浸しになってるじゃない」「なんでいつもそうやって適当なの!」
…って、言っちゃうよね? 言いたくなる気持ち、痛いほどわかる。私もそうだったから。でも、その言葉、夫の心にどう響いていると思う?
「どうせ俺がやっても文句言われるなら、最初からやらない方がマシ」
そう。これが、夫が「動かなくなる」最初のステップなんだ。
「夫は空気」と諦めた妻の、見えない「壁」
私が以前、取材で話を聞いたある共働き夫婦のエピソードが、まさにこの「見えない壁」を象徴していた。
都内で働く田中美咲さん(仮名・30代後半)は、小学1年生の娘さんと保育園児の息子さんを育てるワーキングマザー。夫の健太さん(仮名・30代後半)も同じく都内で働く会社員で、帰宅はいつも夜8時以降。美咲さんは、毎朝6時半に起きて朝食を作り、子どもたちの準備をさせ、保育園と小学校に送ってから出社。夕方は18時に退社し、急いで迎えに行って、そこから夕食作り、お風呂、寝かしつけまで、文字通り一人でこなしていた。
健太さんは、平日はほとんど育児に参加せず、休日に「手伝おうか」と言うことがあっても、結局は美咲さんの指示待ち。美咲さんは何度も健太さんに「もっとやってほしい」と伝えたそうだが、結果はいつも同じ。
「健太は、言わないと動かないんです。いや、言っても動かない。動いても、私のやり方と違うから、結局私がやり直すことになる。だから、もう諦めました。私がやった方が早いし、精神衛生上もいい」
美咲さんの口から出るのは、諦めと疲労の色が濃い言葉だった。彼女の日常には、健太さんの存在は「空気」のようなものになっていた。
ある日のこと。美咲さんが仕事で疲れて帰宅し、夕食の準備をしていると、健太さんが珍しく「何か手伝うことある?」と声をかけてきた。美咲さんは、とっさに「あ、じゃあ、お風呂掃除お願いしようかな」と答えた。健太さんは承諾し、浴室へ向かった。
数分後、美咲さんが浴室を覗くと、健太さんは浴槽を洗い、床を洗い、排水溝の蓋を開けて中の髪の毛を取ろうとしていた。美咲さんはその光景を見て、一瞬、胸が熱くなった。でも、その直後、彼女の口から出たのは、思いもよらない言葉だった。
「あ、排水溝の蓋、そこまで開けなくていいよ。髪の毛は私がまとめて捨てるから。あと、お風呂の洗剤はこっちの泡タイプの方が汚れ落ちるから、次からはこれ使ってね」
健太さんは、美咲さんの言葉を聞いて、ピタリと動きを止めた。そして、小さく「…そっか」と呟くと、手元のブラシを置いて、そのまま浴室を出て行ってしまった。その日の夜、健太さんはいつも以上に無口だったという。
美咲さんは、その時のことを振り返って言った。「私、あの時、健太がせっかく手伝ってくれようとしたのに、また口出ししちゃったんです。良かれと思って言ったつもりが、健太のやる気を完全に削いでしまったんだと思います。私は健太が動かないって文句ばかり言ってたけど、もしかしたら、私が健太を動く気になれないようにしてたのかもしれないって、あの時初めて気づきました」
このエピソードは、多くの共働き夫婦に当てはまるのではないだろうか。妻が「私が司令塔」となり、夫の行動に常にダメ出しをする。夫は「どうせ俺がやっても文句を言われる」と感じ、次第に無力感を覚え、最終的には「何もしない方が平和だ」という結論に至る。
「夫を育てる」という、傲慢な幻想
「夫を育てる」という言葉を耳にすることがある。一見、パートナーシップを向上させようとする前向きな姿勢に見えるかもしれない。でも、私はこの言葉に、ある種の傲慢さを感じる。
夫は、あなたの「子ども」ではない。ましてや、あなたの「部下」でもない。対等なパートナーであるはずだ。にもかかわらず、「育てる」という上から目線で接することで、夫の自尊心を傷つけ、結果として主体性を奪っているケースは少なくない。
夫は「手伝い」ではなく、「当事者」であるべき。でも、妻が「私が完璧にやらなきゃ」「私が教えなきゃ」という意識でいる限り、夫は永遠に「指示待ちの部下」のままだ。そして、その状態に慣れてしまった夫は、自ら考えて行動することをやめてしまう。
本当に「夫が動かない」のか、それとも「動く隙を与えていない」のか、あるいは「動きたくなくなるような環境を、あなたが無意識のうちに作っている」のか。
この「不都合な真実」に、あなたは今、どう向き合うだろうか。
「夫を動かす」のではなく、「共に動く」関係へ
さて、ここまで読んで、多くの人が「耳が痛い」と感じたかもしれない。あるいは、「そんなこと言われても、簡単に変えられないよ」と反発を感じた人もいるだろう。でもね、現実にワンオペ育児で疲弊し、夫婦関係が冷え切っているなら、今までのやり方を続けることに意味はない。
「夫が動かない」という現実を変えるには、まず「私が変わる」しかない。これは、あなたの「負け」じゃない。夫婦関係を再構築するための、最もパワフルな一歩なんだ。
「私の正解」を手放す勇気
夫が動かない「本当の理由」の一つに、あなたが無意識のうちに築き上げてきた「私の正解」という名の高い壁がある。料理の段取り、洗濯物のたたみ方、子どもの着替えのさせ方、お風呂の洗い方…。「こうあるべき」というあなたの基準が、夫の「やる気」を阻害している可能性は大きい。
「でも、夫がやると汚いし、間違ってるし…」そう思う気持ちはよくわかる。でも、考えてみてほしい。完璧じゃないとダメなの? 多少散らかっていても、多少やり方が違っても、最終的に目的が達成されていれば、それで良くない?
夫が何かやってくれた時、たとえあなたの基準から見て60点だとしても、まずは「ありがとう」と受け入れてみてほしい。そして、その60点を「合格」と見なす勇気を持つこと。それが、夫が次回も「やってみよう」と思えるための、何よりのガソリンになる。
「完璧じゃないと許せない」というあなたのこだわりは、実は夫の成長の芽を摘み、結果的にあなたの負担を増やしている。この悪循環を断ち切るには、「私の正解」を手放し、夫の「彼なりの正解」を許容する柔軟さが不可欠だ。
「任せる」は、究極の信頼表現
夫に家事や育児を「任せる」ことは、想像以上に難しい。それは、あなたが「私がやった方が早い」「私がやらないとダメになる」という思い込みに囚われているから。でも、その思い込みこそが、夫を「当事者」ではなく「手伝い」のポジションに固定している元凶なんだ。
夫に「これ、お願いできる?」と具体的に頼んだら、あとは口出しせずに、最後まで見守る。たとえ失敗しても、怒らず、責めずに、「次はこうしてみたら?」と優しくアドバイスする。このプロセスを繰り返すことで、夫は「自分でもできるんだ」という自信をつけ、徐々に主体的に動くようになる。
最初は時間がかかるかもしれない。あなたの思い通りにならないことも多々あるだろう。でも、そこでイライラして口出ししたり、結局自分でやり直したりしたら、また振り出しに戻ってしまう。
「任せる」ことは、夫への究極の信頼表現だ。あなたが夫を信頼し、その能力を信じるからこそ、彼は自ら考え、行動するようになる。そして、その結果、夫は「自分も家庭を支える一員だ」という責任感と喜びを感じるようになる。
これは、あなたの負担を減らすだけでなく、夫の成長を促し、夫婦関係をより深く、強固なものにするための投資なんだ。
ワンオペ育児の呪縛を解き放つために
「ワンオペ育児」は、確かに妻に大きな負担を強いる。しかし、その状態が続く背景には、夫の「無関心」だけでなく、妻側の「完璧主義」や「コントロール欲求」が絡み合っているケースが少なくない。
夫が動かない「本当の理由」は、彼が怠けているから、気が利かないから、という単純なものではないかもしれない。もしかしたら、あなたが無意識のうちに、彼が動くための「スペース」を奪ってしまっていたのかもしれない。
今、あなたがすべきことは、夫を責めることではない。そして、自分を責めることでもない。
まずは、あなたの「完璧主義」や「コントロール欲求」が、夫のやる気を削いでいる可能性を認めること。そして、「私の正解」を手放し、夫の「彼の正解」を許容する勇気を持つこと。
夫に「任せる」という選択は、最初は怖いかもしれない。でも、その一歩を踏み出すことで、あなたはワンオペ育児の呪縛から解放され、夫は「当事者」としての自覚を持つようになる。
夫婦関係は、どちらか一方が頑張るものではない。二人で「共に創る」ものだ。
「うちの夫は変わらない」と諦めるのは、まだ早い。あなたが少しだけ視点を変え、行動を変えるだけで、夫婦関係は驚くほど変化する可能性がある。
もう一度、あなたの夫婦関係を見つめ直してみてほしい。そして、あなたが本当に望む未来のために、今日から何ができるのか、考えてみてほしい。
ワンオペ育児で疲弊したあなたの心に、少しでも光が差すことを願っている。
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