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「『うちは平等に分担してる』と信じる共働き夫婦が、なぜ「名もなき家事」で消耗し続けるのか?」

ブログ

はじめに

「うち、家事分担は完璧だから!」そう胸を張って言える共働き夫婦、どれくらいいるでしょう?「夫も私も、ちゃんと役割を決めて、均等にこなしてるはず」。そう信じているあなた、もしかして、気づかないうちに心や体が少しずつすり減っていませんか?「なぜかいつも私ばかりが忙しい」「休日の朝も、なんだか落ち着かない」――そんなモヤモヤ、実は多くの家庭で起こっていることなんです。

そのモヤモヤの正体、それは目に見えない「名もなき家事」かもしれません。今回のシリーズでは、その正体に迫り、あなたがもっと軽やかに毎日を送るヒントを深掘りしていきます。

『平等』という名の幻想、その裏側

見えない家事、見えない努力

「私たち夫婦は、家事分担が平等だって思ってるんです。」

そう語る共働き夫婦は、実はたくさんいます。でも、ちょっと待って。その「平等」って、本当にそうでしょうか?もし、あなたが「なぜかいつも私ばかりが忙しい」「休日の朝も、なんだか落ち着かない」と感じているなら、それはあなたが「名もなき家事」という見えないタスクを、無意識のうちに大量に抱え込んでいるからかもしれません。

「名もなき家事」とは、具体的にどんなことでしょう?
例えば、ゴミ箱の袋が空になったら新しい袋をセットすること。トイレットペーパーが残り少なくなったら予備を補充すること。シャンプーや洗剤が切れそうになったら買い足しリストに加えること、または詰め替えること。子どもの保育園や学校から持ち帰ったプリントをチェックして、必要な手続きをすること。次の休日のレジャーや旅行のプランをぼんやりとでも考え始めること。冷蔵庫の中身を確認して、足りないものを把握すること。電球が切れたら交換すること。郵便物や宅配便の不在票を処理すること。これらは「料理」「洗濯」「掃除」といったメインの家事とは異なり、明確な担当者が決まっていないことがほとんどです。

だからこそ、誰かがやらなければならないと気づき、つい手が動いてしまう。そして、それが当たり前のように日常に溶け込んでいるため、誰もその存在に気づかない。特に、そのタスクを担っている本人でさえ、「これは家事ではない」と認識していないことすらあります。しかし、こうした一つ一つの「見えない努力」は、確実にあなたの時間と精神をすり減らしているのです。

佐藤由美さん(仮名)のケース:『私って、一体何やってるんだろう?』

都内で共働きをする佐藤由美さん(38歳、仮名)は、まさにその「名もなき家事」に疲弊し続けている一人でした。彼女の夫である健太さん(39歳、仮名)も共働きで、夫婦の間では「家事分担はきっちりしてる」という認識でした。健太さんが朝食の準備と夕食後の食器洗い(食洗機に入れるまで)、そして週に一度の風呂掃除を担当。由美さんは洗濯と掃除機がけ、そして平日の夕食作りを担当していました。一見すると、それぞれの役割が明確で、平等に分担されているように見えます。しかし、由美さんは常に、漠然とした疲労感に苛まれていました。

由美さんの朝は、健太さんが作ってくれた朝食を家族で食べた後から始まります。健太さんは食卓を拭き、皿を食洗機に入れてくれますが、調理に使われた鍋やフライパン、まな板、包丁などはシンクに置かれたまま。由美さんはそれらを洗い、シンクを綺麗に拭き上げ、生ゴミを処理します。子どもの着替えを手伝いながら、前日に由美さんが用意しておいた翌日分の衣類を確認し、園からの連絡帳をチェック。持ち物の最終確認をしてバッグに詰めます。「〇〇、水筒は入れた?ハンカチは?」と声をかけるのも由美さんの役目です。

日中の仕事中も、由美さんの頭は常に家のことに向けられています。宅急便の不在票があれば、在宅勤務の合間に再配達の手配。学校からの一斉メールに目を通し、翌週の持ち物や行事の日程を頭にインプット。急な連絡事項があれば、夫にも共有すべきか判断し、メッセージを送るのも由美さんです。

夕食後、健太さんが食器を食洗機に入れてくれますが、食洗機に入らない大皿や調理器具は由美さんが手洗いします。食洗機の洗剤が切れそうになっていたら、それも由美さんが補充するか、買い出しリストに加えます。その日のうちに、翌日の献立を漠然と頭の中で考え始め、足りない食材がないか冷蔵庫の中をチェックします。健太さんが「明日のシャツどこ?」と聞けば、由美さんは「右から3番目の引き出し」と即座に答えられるよう、常に物の位置を把握しておく必要がありました。

週末になれば、健太さんは趣味の時間や友人と過ごす時間を楽しんでいました。「お互い自由に過ごしてる」というのが彼の認識です。しかし、由美さんの「自由な時間」は、常に家族の「ToDo」リストに縛られていました。平日にできなかった食材の買い出し、クリーニングの受け取り、子どもの予防接種の予約、来週の献立の具体的な考案、家族で出かける場所のリサーチや予約……これらすべてが、由美さんの週末のタスクだったのです。

由美さんは、たまに健太さんに「なんだかいつも私ばかり忙しい気がする」とこぼすことがありました。しかし、健太さんは「え?でも俺、ちゃんと料理してるし、風呂も洗ってるじゃん。由美も洗濯とかやってるし、平等だよな?」と、悪気なく答えます。由美さんも、具体的に何を自分が余分にやっているのかを言語化できず、結局「そうか……私の気のせいなのかな」と、心の中で不満を募らせるばかりでした。

「私って、一体何やってるんだろう?」

そんな疑問が、ある日、由美さんの心を深く蝕みました。それは、由美さんがインフルエンザで数日間寝込んだ時のことです。健太さんが全ての家事を担当することになりました。その時初めて、健太さんは多くの「名もなき家事」の存在に直面したのです。トイレットペーパーの補充、空になったシャンプーの詰め替え、子どもの園の連絡帳の確認と持ち物の準備、冷蔵庫の中身を見て献立を考えることの難しさ……。
由美さんが回復した後、健太さんは「由美、いつもありがとう。大変だったね」と言いました。由美さんは、健太さんが「名もなき家事」の存在に気づき、その負担の大きさを理解してくれた、と期待しました。しかし、結局、具体的な家事分担の見直しは提案されず、いつもと変わらない日常が戻ってきたのです。その時、由美さんは初めて「見えない家事」の重さと、それが夫に理解されない現実を痛感し、深い落胆とともに、自問自答を繰り返すようになりました。

由美さんのケースは、決して特別なことではありません。多くの共働き夫婦が、リスト化されない「名もなき家事」の存在に気づかずに、消耗し続けています。「平等」という言葉の裏に隠された、見えない負担の存在。この見えない努力をどう可視化し、どう分かち合っていくかが、これからの共働き家庭に問われているテーマなのです。

「平等」のその先へ:見えない努力を可視化する勇気

「名もなき家事」を放置する代償

佐藤由美さんのエピソードから見えてくるのは、「名もなき家事」が単なる家事分担の問題ではなく、夫婦間の信頼や個人の心の健康にまで影響を及ぼす、根深い課題だということです。形式的な「平等」の裏で、どちらか一方が見えないタスクを背負い続けていると、やがて心には不満や不公平感が蓄積されていきます。それはやがて「私って、一体何やってるんだろう?」という自己肯定感の低下にもつながりかねません。

「忙しいのは仕方ない」「みんなそうやってる」と自分に言い聞かせても、あなたの心が疲弊しているなら、それは間違いなく危険信号です。家事は、生活を豊かにするための手段であるはずなのに、いつの間にかあなたの心を重くする足枷になっていませんか?

多くの共働き夫婦は、お互いに忙しく、お互いを尊重したいと思っています。しかし、「名もなき家事」は、その努力や善意をすり抜け、ひっそりと片方に偏り、蓄積されていく。そして、その不均衡が、気づかないうちに夫婦関係の亀裂や個人のQOL(生活の質)の低下を招いているのです。この見えない負担を放置し続けることは、共働き生活の満足度を確実に蝕んでいきます。

「見える化」こそが、共働きの新常識

では、この「名もなき家事」という厄介な存在と、どう向き合えばいいのでしょう?

シンプルに、そして力強く伝えたいのは、「見えないものを、見える化する勇気を持つこと」です。

これは特別なスキルや複雑なツールを必要としません。必要なのは、あなたの心の中にあるモヤモヤを言語化し、それをパートナーと共有しようとする一歩踏み出す気持ちだけです。

まずは、あなたが「名もなき家事」だと感じていることを、全て書き出してみてください。
「トイレットペーパーの補充」「ゴミ箱の袋交換」「子どもの園からのプリント確認」「切れた電球の交換」「次の長期休みの予定をぼんやり考え始めること」……どんなに些細だと感じることでも構いません。リストアップすることで、あなたは初めて、自分がどれだけの「見えないタスク」をこなしているかに気づくはずです。

そして、そのリストをパートナーと共有するのです。感情的にならず、「私が普段やっていること」として、淡々と、しかし真剣に伝えてみてください。パートナーが「そんなことまでやってたの?」と驚くかもしれません。その驚きこそが、相手が「名もなき家事」の存在を認識し始めた証拠です。

「平等」とは、ただ役割を分けることではありません。お互いの負担を理解し、認め合い、そして話し合いながら、常にバランスを調整し続けること。それが、共働き家庭における真の「平等」なのです。

この「見える化」から始まる対話こそが、消耗しがちな共働き夫婦が、もっと軽やかに、そして心から充実した毎日を送るための、最初の一歩であり、最も本質的な解決策だと断言できます。

まとめ:見えない家事を「見える化」し、新しい「私たち」を築く

「『うちは平等に分担してる』と信じる共働き夫婦が、なぜ「名もなき家事」で消耗し続けるのか?」

その答えは、見えない家事が存在し、それが一方に偏っているから。そして、その存在が認識されていないから、です。

共働き家庭がもっと豊かに、もっと幸せになるためには、この「名もなき家事」に光を当て、夫婦で共有し、分担する意識を持つことが不可欠です。それは決して楽な道のりではないかもしれません。しかし、その一歩を踏み出すことで、あなたは自分自身の心を守り、パートナーとの関係をより深く、より信頼し合えるものへと変えることができるでしょう。

「名もなき家事」を「見える化」する勇気。
それこそが、あなたが、そしてあなたの家庭が、古い「平等」の幻想から抜け出し、本当の意味で軽やかに、そして自由に生きていくための、新たなスタートラインなのです。

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